小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

カテゴリ: 俳句 花

梅雨の夜の茸かそけきこゑを出す  渡邉美保

今年(2020年)の梅雨は長かった。長かった、と、過去形でいうが、7月30日現在、まだ梅雨明けはしていない。あと4日ぐらいだとラジオの気象予報士はいう。まあ、当たらずとも遠からずだろう。毎年のことながら、各地で堤防が決壊したり、土砂崩れで犠牲者もでている。日本列島

エスカレーター暑さならんで来たるこゑ  梶原美邦

その瞬間を想像することができる。エスカレーターの一段に二人並んで乗ってきた。母と子かもしれない。待っているのは父親か。二人並んで来たが、開口一番、一緒に「暑いよー」と叫んだのだ。その声。そこにいる人間を、具体的には語らず、暑さが来た、という捉え方が面白い

光りつつ曲がる宇治川水草生ふ  玉手のり子

「朝日新聞」2020年4月19日俳壇、稲畑汀子選より。宇治川というのは、あの平等院鳳凰堂の建つ近くを流れる川であろうか。「光りつつ曲がる」というから、小さな川ではないことがわかる。カーブして流れる川の表面には、陽光がキラキラと光っている。流れはゆったりとしている

前髪とマスクのはざま眼の笑ふ  大畑光弘

「読売新聞」長谷川櫂さんのコラム「四季」2020年4月23日に取り上げられた句である。長谷川さんは、「人の心を知るのは難しい。その人の空気と過去を知ってもわかるかどうか。まして目だけで読むのは至難の業」と書く。人間を知ることの難しさをいう。そして、「この句もどん

父母の墓父母の姿に陽炎(かぎろ)へる  萩原豊彦

「朝日新聞」2020年4月19日俳壇、高山れおな選より。父母の墓がある。だいたい一基だ。ひとつのところに父母のお骨は納められている。仲の良い両親だったのだろう。その墓石が、両親の姿のように陽炎で揺らめいているという。古き良き日本のローカルな風景だ。美しい。作者は

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