「朝日新聞」2020年4月19日俳壇、稲畑汀子選より。

宇治川というのは、あの平等院鳳凰堂の建つ近くを流れる川であろうか。
「光りつつ曲がる」というから、小さな川ではないことがわかる。
カーブして流れる川の表面には、陽光がキラキラと光っている。流れはゆったりとしているのだ。
その川の流れにしたがって、水草が靡くように生い茂って揺れている。

折々に歴史の舞台となってきたその川の流れを見つめる作者は、きっとそこに悠久の時間を見ていたにちがいない。