小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019年08月

円空佛一切省略夏に入る    手島靖一

「円空佛」「一切省略」「夏に入る」という3つのフレーズだけで出来ている。「円空佛」は次の「一切省略」にかかり、「一切省略」は次の「夏に入る」にかかる。夏に入るという季語は、いろいろな説明を省いたあとの究極の簡潔な季語である。その簡潔さを、一切省略と作者は言

打水や裾をからげて紺屋町    德田千鶴子

この句のポイントは「紺屋町」。裾をからげての打ち水は、よく見る光景だが、そこが紺屋町であるという。紺色に衣を染めることを生業とする店が軒を連ねた街が紺屋町。現在は、そういう生業をする店は少なくなったが、街の名にいまも名残を感じることは多いし、名ばかりでな

息凝らし金箔を貼る光琳忌    川村智香子

この句、実際に見たものか、テレビなどの映像で見たものか、あるいは全く違いイマジネーションの産物なのか、はわからない。が、それはこの句の場合どうでもよいかもしれない。息を凝らして、薄い金箔を貼り上げていく動作が描かれる。薄い箔である。破らないように丁寧に貼

犬乗せてベンツ出て来し避暑の荘         大久保白村

実際目にしていなくても、わかる光景。ベンツは高級車だから、そこに鎮座している犬もきっと高級犬であろう。もちろん、運転する人間もきっと資産家に違いない。三題噺のようにまとまったシーンだ。この句の面白さは、犬のほうにばかり目がいき、運転主の姿が全く見えないと

さつきまでががんぼの脚だったもの      夏井いつき

筆者も似たようなことを感じたことがある。ガガンボもそうだが、蚊やバッタなどの小動物の脚は、いとも簡単に取れてしまう。取れたとき、手にしているものは、さっきまでそれら小動物の脚だったものには間違いないのだが、いまは単なるモノになってしまった。そう思うとき、

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