小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019年05月

ゆふぞらに和みの色の紫木蓮    大川ゆかり

紫木蓮は、派手やかさはない。どちらかというと、地味な花だ。その地味さは、夕空に浮かびつつも、しっくりと収まるぐらいにあわあわとした色合いで、まったく違和感を感じさせないのだという。一筆書きのような単純さが、かえって効果的な一句。沖2019.6

ひとり来て田植仕度の始まりぬ     能村研三

あっさりとした結構の句だ。まるで一人芝居でも見ているような感じで、作為は感じないものの、どこかユーモラスである。ゴールデンウィークごろが田植えどきのピークである。むかしは家族総出で行われた田植えだが、いまは家族がバラバラ。しかたなく、家長一人で田んぼに出

ふがふがとポンプ井戸漕ぐ余寒かな    田口風子

「ふがふが」のオノマトペがいい。たしかに、そんな音だ。ポンプ井戸は、いわゆる手でガシャガシャ漕ぎだす古いタイプの井戸のことだろう。あの井戸、漕ぎだすためのオーバーアクションやその大きな音のわりには、水が出ないのだ。その辺のむなしい心の動きを「余寒」という

あの子にも巻いてやる今年の恵方巻    田中よしみ

「青い地球」という俳誌がある。「新自由律俳誌」と謳っている。同人誌であるから、主宰はいない。この句、第48回青い地球賞に選ばれた作品一連の一句である。「二合で足りて三日息子の仏前」という句もあり、息子さんが先に旅立たれたことがわかる。この句、恵方巻きを通し

口紅の色変へ会ひにゆく桜    和田華凛

元号が平成から令和に代わった年の春、穏やかな陽気が続いたせいで桜の開花時期は長かった。こちらの桜は満開なのにあちらの桜はまだ莟という具合で、関東でもいろいろな桜の花を楽しむことができた年であった。この句の作者は関西人だ。関西もまたたくさんの桜に会うことが

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