小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019/05

遺骨まだ残るシベリア雁帰る      井上青軸

シベリアは、アジア大陸北部、ロシア連邦のウラル山脈以東の地域だ。大陸性気候で酷寒の地。先の太平洋戦争の末期、敗色が濃くなった日本に対し、勝てるとみたロシア軍が参戦。結局、大勢の日本人はロシア軍に捕まり、シベリアに捕虜として連れて行かれ、強制労働を強いられ

渋民の芽吹きの遅き辛夷かな      藤田直子

渋民はいうまでもなく石川啄木の郷里だ。作者はいらっしゃったのだろう。行ったことのない筆者は、想像で書くわけにはいかないが、鄙びた田舎の風情は今も残っていようか。みちのくが暖かくなるのは関東地方からするとかなり遅い。そのぶん、春が待ち遠しいのである。作者は

北国はマグマを抱き春の雪      長町淳子

マグマをストレートに詠んだ句は少ない。言われてみれば、なるほどとうなづける大景の句。マグマの熱いものと春の雪の冷たいものとの対比が効いている。先の船越淑子さんの句同様、青海波2019.5

維新の士育みし地や諸葛菜        船越淑子

作者は徳島県の方。阿波も土佐も幕末期には大いに沸騰したのである。この句、どことは言わないが、そういった人々の面影が目に浮かぶ。諸葛菜はアブラナ科の一年草、高さ30〜60センチで、春に紫色の四弁花をまばらな総状花序につける。地味ながらたくさん咲いていると華やか

新聞の日付け令和へ初夏の雨    小島てつを

今日5月1日、天皇の代替わりがすみ、年号が変わった。正式な言葉で言えば改元である。ただ昨日今日と改元のおめでたい儀式が続くなか雨となってしまった。テレビをつけると、雨降って地固まるのことわざをいうアナウンサーの声。雨は雨でも、暖かい陽気であることに救われた

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