作者は福岡の人。海は近いが、この句の船頭が漕いでいるのは、運河のようなところであろう。水に挿す棹に枝垂藤が触ったというのであるから。船頭が漕ぐ船というから、遊覧船のような大きな船ではないことはいうまでもない。藤棚の下を進む舟、水棹が触れて行くばかりの藤の花の見事さ。リリシズムの香りたかい一句。青嶺2019.7