俳句で花といえば桜のことをいうというが、この句の花は「梅雨湿り」という季語から梅雨どきに咲く花ということになる。花はどんな花でも良い。逆さまに落ちていることの悲しみを言いたかったのである。ここ数年、ひでり梅雨が多かったようにおもうが、今年の梅雨は梅雨らしい梅雨どきを迎えている。明日で6月が終わるが、関東地方は例年7月中旬まで梅雨は続く。同時掲載の、

    山廬近し茅花流しの土手つづき

であるが、山廬は、先師蛇笏・龍太のいた家。懐かしさの広がる一句である。
郭公2019.7