いまの「ホトトギス」は、古風な正統の伝統俳句を作る方と、思い切って冒険したような句を作る方がいるように見受けられる。大所帯ゆえのふところの広さがあるからできることであろうと思う。さて、掲句である。「花の門」とは、あまり具体的な花(桜)のイメージとはつながらない。どちらかというと観念的。要するに、なにもわからぬまま、魅せられた花鳥諷詠の俳句の門をくぐってしまったわたしだが、そこには高濱虚子という大きな存在がおり、わが歩むべき道のしるべとなって道を照らしてくれているのだ、という句。決意と覚悟の感じられる句である。内面にみなぎるものは伝統俳句礼賛だが、「花の門」などという言葉を使った俳句としての大胆さは新鮮。「道標」は「みちしるべ」と読む。円虹2019.6