小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

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モガリ笛いく夜もがらせ花二逢はん      檀    一雄

檀一雄はいろいろな小説を書いてきた作家だ。ロマンに富んだ放浪ものや実体験をもとにした評伝や恋愛ものがあるかと思えば時代小説も書いている。晩年の大長編「火宅の人」は、今まで書いてきた私生活ものの集大成といってよく、大変売れて、のちに映画化もされ話題を呼んだ

花の門潜り虚子てふ道標(みちしるべ)    山田佳乃

いまの「ホトトギス」は、古風な正統の伝統俳句を作る方と、思い切って冒険したような句を作る方がいるように見受けられる。大所帯ゆえのふところの広さがあるからできることであろうと思う。さて、掲句である。「花の門」とは、あまり具体的な花(桜)のイメージとはつながら

のどけしや砂浴びの鶏くうと鳴き    後藤菊子

鶏が砂浴びをしているというのだから、陽光もたっぷりと降り注いでいる日中であろう。ゆったりと時間が流れているのどかな昼の光のなか、鶏は「くう」という声を出して鳴いたというのだ。意味のない声のような気がする。意味のない声を発したというところに、この鶏の至福が

さざ波をたてて干潟は目に似たり      今瀬剛一

干潟は潮の引いたあとの砂浜のこと。波が砂浜に自然の造形をほどこす。この句の作者は、それら干潟を高みから俯瞰して見ているから、目のようだとなる。目は、いきいきとして輝いているに違いない。自然の造形には、人間はどうやったって、かなわないのである。美しい句だ。

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