小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

カテゴリ: 俳句 花

里の人あけびを持って行けといふ    渡辺純枝

俳句とはつくづく偶然の賜り物だと思う。この句、作者の作為は全くといってよいほどない。おそらく作者、野道を吟行して歩いていたら、あけびの可憐な花に出会った。ジロジロ見ていたら、通りかかった地元の人に、そんなによかったら持っていけ、と言われたのに違いない。土

風の盆男踊りの案山子(かかし)起ち      大高霧海

盆踊りの中でも、胡弓の調べにのせての踊りはたおやめぶりで哀愁をそそるところから、風の盆は全国的に知られるところとなった。場所は越中富山の八尾市。その地に筆者は未だ立ったことがないので、詳細は書けないが、想像以上の風景がひろがることは間違いないであろう。町

支流より濁り押し寄せ草いきれ   上瀧章子

結社誌「対岸」2019年10月号より。この作者については、一切不明ながら、この句の他にも、吹き渡る風青青と稲は穂に本塁打打つて涼しくハイタッチ など、力の漲った作が並ぶ。好感を持って読ませていただいた。支流より押し寄せてくる流れは激しさを感じさせる。その押し寄

かの記憶薄れ緑蔭の二三人    山崎   聰

この句でいう「かの記憶」が何を指すかも、わかりにくくなってきた時代だ。もちろん作者は、いっけん曖昧な表現で、「あのこと」を言いたかったのだろうと思う。緑蔭といえば夏だ。夏といえば、その時代を生きてきたものからすれば、あれしかないだろう。「戦争」である。8月

火を焚けば真つ暗になる寒き夜    井越芳子

句集「雪降る音」。その帯文で、高橋睦郎さんは「目の欲望の過剰がみじんもなく、寡欲から生まれる豊饒は潔い」と書いているが、言葉を超えた光と影の織りなす叙情性あふれる句に魅力があるように思った。作者は1958年生まれ。現在、山崎ひさを主宰「青山」同人。眼の奥の冬

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