小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

カテゴリ: 俳句 花

臨死の父何思(も)ふ真夜(まよ)のほととぎす    山田径子

「点滴の父」というタイトルがあって、       点滴を抜けば死ぬ人薔薇散華という句があるから、いまわの際の父との別れのときを詠んだものとわかるのである。臨死の父は何思う、といわれても、実際は何か思うほど冷静な意識があるかどうかわからない。とはいえ、遺された

カツカレー食べて干潟(ひがた)の鳥を待つ   長澤寛一

干潟で鳥を待つとは、どういうことか。食べ物を食べてまで待つということは、長時間待っているということだ。おそらく写真家が干潟に憩う鳥の写真を撮るため、そのシャッターチャンスを朝からずっと待っているようなスチェーションが、この句の背景にあるのではないか。もち

円空佛一切省略夏に入る    手島靖一

「円空佛」「一切省略」「夏に入る」という3つのフレーズだけで出来ている。「円空佛」は次の「一切省略」にかかり、「一切省略」は次の「夏に入る」にかかる。夏に入るという季語は、いろいろな説明を省いたあとの究極の簡潔な季語である。その簡潔さを、一切省略と作者は言

打水や裾をからげて紺屋町    德田千鶴子

この句のポイントは「紺屋町」。裾をからげての打ち水は、よく見る光景だが、そこが紺屋町であるという。紺色に衣を染めることを生業とする店が軒を連ねた街が紺屋町。現在は、そういう生業をする店は少なくなったが、街の名にいまも名残を感じることは多いし、名ばかりでな

息凝らし金箔を貼る光琳忌    川村智香子

この句、実際に見たものか、テレビなどの映像で見たものか、あるいは全く違いイマジネーションの産物なのか、わからない。が、それはこの句の場合どうでもよい。息を凝らして、薄い金箔を貼り上げていく動作が描かれる。ちょうどその頃が光琳忌。ということで、光琳の燕子花

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