小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

カテゴリ: 俳句 花

おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒 江國 滋

「おい、○○め」は、癌に対する呼びかけ。「酌みかはさうぜ」は一緒に飲もうぜ、とまるで親しい友人に語りかけているようだ。しかし、その相手は癌だ。巧みな擬人化が微苦笑をさそう。逃れたくても逃れられない病苦、喘ぐようなつぶやきである。そして下五「秋の酒」は季語

杖と佇(た)つ老夫の視野の遠桜    飯村寿美子

「私と佇つ」ではない。「杖と佇つ」である。そういうことで、作者は「夫」に対し、ある距離をおく。その夫は、桜の森の中に入っているのではなく、視野の中に遠桜としてある距離をとって桜を見ているのである。客観視した中でみえてくる桜はきっと理屈を超えて美しかったこ

寒禽(かんきん)や神木齢(よわい)四百年     小山徳夫

寒禽は、冬に見受ける鳥たちの総称。季節がら、あまり活動的ではない。神木とは、神霊の宿る木。齢四百年というから、四百年を生きている神霊の宿った古木といことになる。この句鎌倉での作というから、鶴が岡八幡宮の石段左にある大銀杏のことを詠まれたのであろうか。樹齢

さかしまに花落ちてゐる梅雨湿り    井上康明

俳句で花といえば桜のことをいうというが、この句の花は「梅雨湿り」という季語から梅雨どきに咲く花ということになる。花はどんな花でも良い。逆さまに落ちていることの悲しみを言いたかったのである。ここ数年、ひでり梅雨が多かったようにおもうが、今年の梅雨は梅雨らし

牡丹から牡丹へ虻(あぶ)もてふてふも    あらきみほ

牡丹は大輪であり赤や黄色、白など色彩的にも華やかそうに見える花だが、花肉は薄く、なんとなく淡い花という印象もある。花壇などでも牡丹の花はたくさん咲いていることが多いから、この句、花から花へというわけである。虻もそうだし、「てふてふ」(蝶々)もそうだ、という

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