酔芙蓉の花びらが、風に乗って揺れるたびに、色を少しずつ加えてゆくようだという句。
もちろん、作者の感覚がそう捉えたのであって、事実ではない。
しかし、事実以上に事実めいた印象を与えるところが、言葉の芸としての俳句の持ち味なのだ。
酔芙蓉の花の美しさの真実を描いているということができるかもしれない。

俳誌「若竹」2020年7月号より。