「朝日新聞」2020年6月28日歌壇、永田和宏選より。

この歌の面白さは「スルー」と「トレー」である。同じような発音だが、「スルー」は動作、「トレー」はモノだ。
ショッピングセンターなどで買い物をすると、お客はお金を入れる小さな器に代金を置いて支払う。
レジの担当の方は、その金額を見て、先程の器にお釣りを入れるというわけである。
つまり、コロナウイルス騒動の前は、平気でお金を手渡しし、お釣りも手渡しで受けとっていたことが、いまはダメになりつつあるということだ。
こんな日常の変化をさりげない言葉で表現し洒落た歌に仕上げられている。