春とはいえ、まだ寒い日が続いていることが多い。
冬はマフラーが必需品だったが、それほど寒さを感じなくなった春、和服の女性の場合、ショールを巻いて出かけることが多い。
ショールは、なかなかの小道具でもある。巻いている立ち姿が美しいのだ。だから、和服を着る機会の少なくなった今でも俳句の季語として重宝がられている。
「ハルショール」という響きもよい。
この句でいう「時間の戻るなら」は、あまりに楽しい時間が終わってしまった。その時間に戻りたいものだ、と思ったのだ。後ろ髪を惹かれつつ、外に出た。
その瞬間のつぶやきが、そのまま一句に収められたのである。