今年版の角川俳句年鑑を読んでいたら、この句に出会った。
作者は平成6年生まれというから、まだ二十代だ。二十代の感性が詠んだ女性の、母性を感じさせる俳句である。
「乳房に触れ」た我が子、その「子の手つめたし」、つまり、冷たい、と感じ驚いた作者。冷たさを温めてあげたいと思うのは母親として自然のこと。子にとって、母親のお乳はいのちを温めてくれるにちがいないと無意識ながら感じたかもしれない。
季語は「花の昼」、桜が満開ごろのお昼どき。ゆったりとした時間が流れ、春の日差しがあふれるひとときがある。そこにいるのは、若い母と幼い児だけだ。この、こころ温まるひとときを大事にしたいと母は思ったはずである。