中国の武漢を発生源とする新型ウイルスが世界中を恐怖に陥れている。
防衛手段は、手洗い、うがい、それとマスクだという。結果的に、マスクが市場から消えるほど、売れている。たれもこのウイルスに侵されたくないのだから仕方ないといえば仕方ない。一日も早い鎮静化が望まれる。
現代、マスクの存在は大きなものとなりつつある。マスクはもともと冬の季語だが、掲句の場合は、上記の意味合いで使われているマスクではないようだ。
今も変貌を遂げようとしている「渋谷」という街。
それと、最近気づくことだが、風邪や花粉症にかかわらずマスクをする(特に)女性(なかでも女子高生など)が増えていること。一説では、顔全体をあらわにしないぶん、美しく見られるのだとか。
衛生用品マスクが、こういうふうに使われるとは思わなかった。が、この曖昧な意味合いでの流行がこんにちの風俗として、あるのである。
いっぽう、渋谷(の街、というより、渋谷駅の周辺)の変貌は著しい。駅を挟むように建っていた東急百貨店、東急プラザなども様変わりした。その他のビルもまたしかり。東京2020の年になっても、まだまだ渋谷駅周辺の再開発の完成型は見えない。「いつまでも」に長い時間の現在進行型が読みとれる。
風俗としてのマスクの流行、それと渋谷の街の未完の姿を重ねた一句。
角川版俳句年鑑2020より。