清水さんが自らの著書にこの句を揮毫されている写真を見た。
清水さんは、現在のマガジンハウスの前身、平凡出版の雑誌「平凡」初代編集長を経て、マガジンハウスの会長になる。
ご自身、詩歌がお好きだった。「鳩よ」という詩歌文芸誌も発行した。途中、判型を変えたり、小説中心にしたりしたが、売れ行きがあまり振るわなかったらしく、長くは続かなかった。イラストや写真を満載したビジュアルな詩歌の雑誌は魅力的だったのだが。
清水さんの掲句は、リキまず素直でわかりやすいのが良い。
吊り橋を渡る人間。その人間の頭上を羽根をひらひらさせて飛んでいる蝶々。人間と蝶の間は50センチもないかもしれない。が、そこは吊り橋の上だ。橋から谷底の川までは何十メートルもの距離がある。そうすると、蝶は相当高いところを飛んでいるということになる。そんな高いところに今いるのは、蝶と人間の私だけだ。人間好きな蝶々といわざるを得ない。
人間からすると、自分にいつまでもついてきてくれる蝶々は、まことに愛らしい存在である。
この軽妙さが、俳句の魅力である。