作者名は「あおやぎ・しげき」と読む。青柳さんは、若き日、郷里の長野県から東京に出て来られ、造園業を営むかたわら「鹿火屋」で俳句を学ばれた。植物に対する造詣は深く、多くの俳句歳時記で植物の解説を書かれている。
さて掲句、言わんとすることは、よく分かる句である。
里山というから里続きの山林が、今まさに朝を迎えんとしている。あたり一面急に明るく感じられてきた。しかし、よくよく見ると、いちばん明るさを振りまいているのは木の芽だという。木の芽から朝日が生まれているのだという。里山という大景から焦点を絞っていくと、さいごは極小の木の芽に至るという構図である。
木の芽そのものは、本格的な春を迎えてこれからどんどん枝葉をはぐくみ伸ばして、里山全体を新緑に染めあげていく力を秘めているのだ。そのため大いなる生命力を芽の中に蓄えつつある最中なのである。
この句、まぎれもなく植物に対する生命賛歌の句であり、自然賛歌の句なのである。