俳句では「紅葉」も「黄葉」も、ともに「もみじ」と読む。句会の披講(採られた作品が読み上げられる)では、読み上げられる音声だけだから、わからないことになる。このように、文字で見て初めて意味の違いがわかる句なのである。
俳句は、いまや句会だけが発表の場ではない。総合誌、結社誌などの活字媒体に発表されることも多く、当然、目から入ってわかる俳句の面白さがあっていい。
この句、結果的に、上五、中七、下五ともに「もみじ」という音が繰り返される。中七は紅葉しない山に焦点を当てている。下五の「黄葉」は文字通り赤ではなく黄色く色付いたもみじをいう。
山の「もみじ」にはいろいろな姿かたちがある。
いろいろな姿かたちをした「もみじ」をトータルに見ることで、一つの山が見えてくることだってある。雄大な山の全景が、こうして立ち現れるのである。
「栴檀」2020.2