句集「直線」より。
この文を書いている2020年2月1日現在、中国湖北省武漢を発生元とする「新型コロナウイルス」という病原菌が、世界中に猛威をふるっている。
特に中国では感染者が一万人を越え、死者も二百人を越えている。このウイルスから守る手立ては手洗い、うがいしかないという。マスク着用が励行されたことから、日本全国のマスクが街中の店頭から姿を消しつつある。
さながらデフォーの小説「ペスト」を思わせる大事件といっていい。
そのような時代背景のなか、この句に惹かれた。
もちろんこの句は、もうすでに句集に収まっているのだから、1年以上前に作られているはずである。
が、ウイルスというまがまがしい言葉の響きが、今日のコロナウイルスに重なて読まれたとしても、これは読み手の自由である。
この句、「ウイルスの街」という単純な言葉が、かえって姿の見えない病魔の恐ろしい実体を伝えているように思われるのである。
「春帽子」に、怯えつつ出かけなければならない者の心細さが感じられる。