「大原雑魚寝」とは、節分の夜、京都大原井出町の江文神社で参籠通夜に行われた乱婚の風習をいう。
昔、大原村の蛇井出に大淵という池があり、大蛇が住んでいて里人に危害を加えたため里人は避難の目的で一ヶ所に集まるようになり、乱婚が行われるようになった。これが風習化したものという。江戸期、西鶴の「好色一代男」にも出てくるほど有名であったらしい。
大原雑魚寝に限らず、筑波山の「かがい」をはじめとして、かつての日本では、乱婚(フリーセックス)の風習は「豊穣祈願」ということで各地で行われていた神事なのである。
しかしながら、これらの風習は風俗上問題があるとして明治に入り廃止され、今は昔語りとなっている。
だから「大原雑魚寝」は冬の季語として残っているものの、実際にはその光景を見ることはできない。掲句、夏井さんの句もまた、その昔語りをイメージして、今の感覚で詠まれている。
乱婚から多くの子が生まれた。空で「星のいま生まれ」るように、神さまの思召しによって、人間界は多くの産声に包まれていたことであろう。そんな時代を想い描いている。