紅葉を愛でていたと思ったら、あっという間に落葉の季節に変わってしまう。このころの自然の推移はまことに目まぐるしいのだ。
はらはら落ちる落葉も、最初は見た目にもきれいだが、次第に枯れ色がふかまり、紙くずのようになってしまうと、人間の生活の周囲に散らばった落葉はむしろめざわりであり、結局燃やされてしまう運命にある。
人の目に触れない山中の落葉などは、積もり積もって腐葉土と化して、これから伸びていく木や草の肥料となっていくのだが。
この句、落葉を焚いている匂いからカレーの匂いに連想されている。そうだ、今夜はカレーにしよう!
落葉焚きの落葉の焼き焦げていく匂いとカレーの匂いとがイメージ的に繋がったのである。共感するかどうかは個人差があろうが、そこにシンパシーを感じる人が多ければその句は成功したといえる。イメージが近すぎると、低俗になる。
「こんだて」とひらがなで書いたのも優しい感じがしてよい。
熊谷さんの俳句のイメージの飛躍はたいへんユニークなものが多い。
作者は大正生まれ。加藤楸邨の「寒雷」に参加。その後俳誌「頂点」にも加わった。熊谷さんの主宰誌「逢」には正木ゆう子さんなども参加されていた。先年、亡くなられた。
句集「火天」より