小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019年08月

人生と夏山の道よく曲がる    高橋将夫

なるほどと思う。人生行路はくねくね曲がる曲がり道が多い。よいときもあれば悪いときもある。大きく撓うときもあれば、小さく撓うときもある。小さな撓いは次々とやってくることが多い。そういう意味では人生曲がり道の連続だ。夏山のほうはどうか。この句の夏山は、どこの

いわし雲なお高うなる月の山    森   敦

作者、森敦さんは有名な作家だ。1974年、60歳のとき「月山」で芥川賞をとったこと、語り口がユニークであったことも手伝って、一時テレビなどにも引っ張りだこになった。筆者は70年代、大学生のとき、その森さんを「文芸講演会」ということで、キャンパスにお招きしたことが

数へ日の声こぼしゐる雀の木   山尾玉藻

よく見かける風景である。雀の声が街路樹に溢れている。寒い冬の日暮れぎわ、家路を急ぐ足を思わず止めて見上げていることがある。寒い季節、人は光を求めるように、あの賑わしさは、雀も友を求めて群れているのかなと思う。この句の場合、「数へ日」、つまり年の瀬の時期で

戒名はいるのいらぬの閑古鳥    三浦綾子

「閑古鳥が鳴く」と言えば、人が来ず、寂しい様子のことで、あの店は閑古鳥が鳴いている、などと言う。本来の意味はそれと違って「郭公」のことを言うが、郭公は静かな所を好むから、やはり静かと言うことでは、あの、人の来ない店にも共通する。この句、郭公の囀りのように

夕焼の駅より人は歩み出す    髙橋健文

夏、夕焼けが見られるのは、夕方5時から6時ごろか。帰宅時間の人は多い。駅に降り立った人たちは、自宅目指して散っていく。中には直帰せず、本屋に寄ったり、ジムに寄ったり、居酒屋に寄ったりする人もいるだろう。どこに行くにせよ、「人は歩み出す」のである。その整然

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