小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019年05月

さざ波をたてて干潟は目に似たり      今瀬剛一

干潟は潮の引いたあとの砂浜のこと。波が砂浜に自然の造形をほどこす。この句の作者は、それら干潟を高みから俯瞰して見ているから、目のようだとなる。目は、いきいきとして輝いているに違いない。自然の造形には、人間はどうやったって、かなわないのである。美しい句だ。

にんげんを一日(ひとひ)忘れて風の蝶      田村 葉

にんげんを忘れて、というのであるから、この句の主体は人間である。人間が人間であることを忘れてしまうという発想が面白いし、もっと面白いのは、私は風の蝶だという。ただの蝶ではなく、風に乗って花から花へと軽やかに飛んでいる蝶だという。おそらく人間のあまり行かな

悪食も生きる術なり寒鴉      河村正浩

悪食、悪い食べ物のこと。カラダに悪い食べ物や見た目の悪い食べ物もいうであろう。動物の中でも嫌われることの多いカラスは、それこそ美食にはありつけない。だが、それを良しとしているところがある。食べ物、みな同じじゃないか、という開き直りこそ、鴉なるがゆえの生き

気にかかる折線グラフ弥生尽        山本鬼之介

 折線グラフというものは、見たまま事実を表している。上向きになったり、下向きになったりして、見るものをストレートにおどろかせる効果がある、統計の結果を見せる上では、効果抜群といえるであろう。弥生尽、年度末とくれば、いろいろな一年間の数字が気にかかる時期で

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