小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

アーカイブ:2019/05

竹林のふところ深し百千鳥     柴田南海子

モモチドリという呼び名は、それだけでも明るい響きがある。小鳥たちの鳴き声がとりとめもなく続いているということで、小鳥たちの、木から木へと飛び移って楽しくささやいている生き生きとした動作までもが見えてくるようで楽しい。この句、竹林のふところで鳴いているモモ

湿原の風の音楽蝌蚪の紐     森澤 程

はもう一人の藍賞受賞作品より。この湿原がどこを指しているかはわからないが、作者は関西人だから、関西にある湿原なのか。蝌蚪の紐は、カエルの紐状になった卵。風の音楽という捉え方も面白い。春の風情の感じられる、まことに春らしい句。藍2019.5

琥珀色の蜜の流れや春一番     峯 悦子

春一番は、春を告げる最初に吹く強風だ。この句、琥珀色の蜜の流れ、は、春一番のことを言っているのであろう。そこには、琥珀色や蜜から感じとられる気分的な高揚感がある。その高揚感は、春一番に通じるものである。作者はそう感じ取ったのであろう。第39回藍賞受賞作品よ

全山にさくら一房ずつそよぎ     花谷 清

関西在住の作者である。この句の吟行地は全山さくらというから、吉野山あたりか。全山さくらという大景と、そこからカメラアイのように、グーッと焦点を絞っていくと見えてくるのが、一房の花なのである。その一房の花は風にそよいでおり、それらがいくつもいくつも重なりあ

花粉飛ぶ島に真つ赤な網干され      上谷昌憲

今年の冬から春は、スギ花粉が相当飛んだと報じられた。街には、マスクをした人たちが溢れていた。この花粉、目に見えないから厄介だ。知らないうちに我が体内に入り、くしゃみを連発させたりする。この句の作者が花粉症かどうかはわからないが、真っ赤な網はまさに花粉の姿

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