伊藤若冲は、近年注目されるようになった江戸時代の画家である。
若冲の絵に描かれるニワトリが、羽抜けだったというふうに言いたいのではないと思う。
むしろ若冲の絵の鶏は、豪華絢爛でふくよかな姿が描かれている。
その鶏が絵から飛び出していつしか羽抜けの鶏になってしまったと言いたかったのだ。
絵から抜け出すという捉え方は決して新しいものではないが、ふくよかな鶏がやせ細って目の前に現れたとすると、なんとなくあわれでもあり、ユーモラスでもある。
作者は、鶏の前向きな姿をみて、まだまだがんばらねばと思ったのである。
爽樹2019.11