浜名湖近くに暮らす作者。五山というから、京都を歩かれたのであろうか。五山は古刹の中でも由緒ある寺院にのみ与えられた勲章である。南禅寺、妙心寺や大覚寺など五山と呼ばれるのかどうか。
そんな寺領を散策していると、不意に鐘の音が聴こえてきた。音色に、暑い時期には気付かなかった爽やかさが感じられるようだ。響きにそれこそ透明感のようなものが感じられる。これを「秋意」というのだろう。五つの寺の梵鐘の響きは、それぞれ、わずかずつ違うようだ。当然ながら、その鐘の響きから生まれる「秋意」も、それぞれ微妙に異なるのである。それを聞いて心を慰める作者。
尺八演奏を趣味とした作者らしい、響きにこだわった句である。
虹 2014.8