「私と佇つ」ではない。「杖と佇つ」である。そういうことで、作者は「夫」に対し、ある距離をおく。その夫は、桜の森の中に入っているのではなく、視野の中に遠桜としてある距離をとって桜を見ているのである。客観視した中でみえてくる桜はきっと理屈を超えて美しかったことであろう。あかざ2019.夏号