凍てついた冬の水は鏡のように透き通っていた。しかし季節が徐々に冬から春へと移り始めるなかで、暖かさを増すとともに池の中でもいろいろないのちの営みが徐々に始まり、何となく慌ただしくなって水も濁って感じられてくる。ここまでは、自然のこと。
この句の面白さは、ここで浄瑠璃寺というお寺の名前を出し、場所を特定したことだ。残念ながら、筆者は 浄瑠璃寺には行ったことがないから、踏み込んだことは言えないが、あの堀辰雄の大和路のエッセイを思い出し、ロマンチックな雰囲気に浸ることができたように思う。