この句の眼目は「夕べの風を*待つ心」である。俳句は、実体のあるものを詠うことが多いが、 この句のように、実体のないもの、感覚的なもの、そして人の心を詠むこともある。ただ、実体がない分、ムードに流されやすいという欠点がある。が、この句、風鈴という、だれもが知っている、夏を代表するモノを通して表現しているから、解釈にブレはほとんど生じない。柔らかい表現ながら、そんな強さ、したたかさがこの句にはある。諷詠2018.6