紅梅は、白梅と違って、自己主張がある。あの紅色には、凛とした強さがあるのだ。だから。紅梅の咲く枝々は、真っ青な空を奪い合っている、と見ることができるかもしれない。この句、梅が咲くころ必ず思い出す句である。
白梅のあと紅梅の深空(みそら)あり 飯田龍太
今日から2023年の2月が始まった。ここ関東では、朝晩は氷点下の寒さだが、日中は13度に達した。窓ガラスごしに受ける日差しは暖かだ。猫ものんびり道端に寝転んでいた。散歩で近くの公園に行くと、梅が咲き始めていた。この句。言いたいのは、まず白梅が咲き、それから時をお
下町の八百屋の灯(あかり)小雪舞ふ 柏 玲子
下町というと、東京でいえば谷中・根津・千駄木(ヤネセン)や上野・浅草あたりがイメージされる。この句の作者がどちらに住まれているかわからないので、下町がどこを言っているかは不明だが、読者はそのあたりを連想すればよい。そんな下町の夕暮れ時、はだか電球が点き始め