小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

俳人・歌人の、特に優れた作品を読むことで、今を生きる読者(または実作者)のみなさんのこころに少しでも癒しの風が吹いてくれたらいいなと念願して、今日も鑑賞を書きます。ご感想なだお寄せいただければうれしいです。

さくらさくらさくらはららぐはなびらのうすさやひとのいのちのうすさ    美原凍子

「朝日新聞」2020年5月3日歌壇、永田和弘選より。さくらさくら さくらはららぐ はなびらのうすさや ひとのいのちのうすさ読みやすく表記すると、このようになる。「さくらさくら さくらはららぐ」は、いま、目の前にある桜花の美しさを感じさせるための賛辞といってよい

梅雨の夜の茸かそけきこゑを出す  渡邉美保

今年(2020年)の梅雨は長かった。長かった、と、過去形でいうが、7月30日現在、まだ梅雨明けはしていない。あと4日ぐらいだとラジオの気象予報士はいう。まあ、当たらずとも遠からずだろう。毎年のことながら、各地で堤防が決壊したり、土砂崩れで犠牲者もでている。日本列島

エスカレーター暑さならんで来たるこゑ  梶原美邦

その瞬間を想像することができる。エスカレーターの一段に二人並んで乗ってきた。母と子かもしれない。待っているのは父親か。二人並んで来たが、開口一番、一緒に「暑いよー」と叫んだのだ。その声。そこにいる人間を、具体的には語らず、暑さが来た、という捉え方が面白い

↑このページのトップヘ