「大きな」という形容詞は、いたって曖昧。そこがこの句の面白さである。「大きな」のリフレインが効いている。大きな木だから、その下にできる木蔭も大きいという常識。その大きな木蔭に憩う心。それが夏休みだ。夏休みが、たった今始まったという解放感が、心の底から感じ
穂絮飛ぶ古関裕而の譜面から 池田義弘
いまオンエアしているNHKの朝ドラは、古関裕而(こせき・ゆうじ)をモデルにしている。NHKのラジオを聴いていると、いまも番組のテーマ音楽でたびたび古関の曲が流れる。(昼のいこい等)いささか古風な曲調だが、けっして暗くない。そんな音楽を奏でるための譜面と、ふわふわと
やみさうで雨の一日著莪(しゃが)の花 西本ひとみ
著莪の花。筆者は、以前、鎌倉を吟行したとき、寺院の奥を散策していて著莪の花を見つけた。鎌倉の市街地はからりと晴れやかだが、一歩、寺院の奥から山を登ってゆく道に入ると、なんとなく薄暗く中世の余韻がいまも残っているように感じた。そんな中世の寂しい風情とどこか