小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

今を生きる俳人の、特に優れた俳句を読むことで、今を生きる読者(または実作者)のみなさんのこころに少しでも癒しの風が吹いてくれたらいいなと念願して、今日も鑑賞を書きます。ご感想なだお寄せいただければうれしいです。

寒北斗は、冬の凍てつくような夜空の星のまたたく情景を思い描けばよい。被爆ドームは、あの原爆ドームのこと。今宵は、降るような星空である、という。そこを、星注ぐ、と素直にまとめている。いずれにしても、星と人間の付き合いは長いし深いのである。夕凪2019.5

「夕凪」を読んでいたら、この句に出会った。同人の方である由。表現が面白いではないか。懈怠は、ものうい、けだるい、という意味だ。ハッキリ言えば、することがないから、葡萄を食べることにした、ということだが、したたらせ、が葡萄の汁をしたたらせて食べるというのと、無聊の時間が(砂時計のように)滴り落ちていくというのと両義的であるからいい。そこにふしぎなリアリティがうまれた。そのへんが面白いのである。
夕凪2019.5

    小田切さんから最近刊行された句集「甲武信」をご恵送いただいた。第1句集をだされたのは1986年のこと、その後じつに30年ぶりの出版である。
    早速目を通して、チェックした句は冒頭の句など10句。
 灯ともしてよりかなかなのかなしかる
足早に雲の影過ぐ寒牡丹
手花火や顔集まれば心寄る
緑陰や絶えず何かが降り注ぐ
牛蛙風眠りゐて暮れんとす
みどり児の初湯うれしきあくびかな
雪をもて年寿ぐや不二の山
母をればそこが日溜り白すみれ
月日貝妙音天の島灯る
   妙音天は弁天さまのこと。弁天さまは江ノ島の神さまである。
冒頭に挙げた、
山下る身の浮いてをり桃の花
   で10句となる。森澄雄に学んだだけあって、言葉に深みがあり、読んでいてもいろいろな味のある句が多い。
(2019年3月刊   文學の森)

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