小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

今を生きる俳人の、特に優れた俳句を読むことで、今を生きる読者(または実作者)のみなさんのこころに少しでも癒しの風が吹いてくれたらいいなと念願して、今日も鑑賞を書きます。ご感想なだお寄せいただければうれしいです。

あまり見かけることのなくなった飴細工ではあるが、祭礼の夜店などにはなくてはならないものだ。いろいろ捻られ、着色されて完成する。この句でいう紅が染め上げられたのは、工程としては最後の仕上げなのであろう。しかしあざやかに色付けされた飴は、春の始まりにふさわしいもののように見えるのである。
春月2019.5

ふつう「ちゃりんこ」と「や」を小さく書く。「向う」も「向ふ」と書く。それが新カナ遣いだ。旧カナは促音を大きな文字で書く。初心者は、この旧カナ遣いの問題で、けっこう苦しむことになる。が、言葉であるから、一つ一つ覚えてゆくほかない。俳句は趣味としてはお金はかからないほうだが、時間がかかる。気の短い人は脱落してしまうことが多いのも事実である。ともあれ、この句である。春一番に向かってゆくおさな子とその自転車(ちゃりんこ)のひたむきさがよいではないか。俗語ながら、可愛い響きがあり、これはこれで面白いと思う。松の花2019.5

この句は、藤木さんの代表句といってよいかもしれない。八戸に住んでおられた(と過去形で書くのは、藤木さんがすでに故人になられているからだ)から、その生活ぶりはあまりわからないが、同郷の作家三浦哲郎さんなどとも交流されていたし、よく東京でのパーティなどにも顔を出しておられたから、忙しかったのは事実であろう。そんな人に、たまさか訪れたわずかな無聊の時間が、こういう句を作らせたのだ。おそらく東京での作ではないか。

生きてゆく指を濡らして黒葡萄

もともとお身体が弱かったと伺ったことがある。だから、中国に行ったとき漢方薬を買って来るのだとおっしゃっられていた。生きてゆく、の言葉には作者のそんな重さが実感として感じられる。

雪の音年逝く音と聞き澄ます

この句、越年に降る雪とその音とそれを身体で感じている私とが一つになっている。雪国青森のひとにして詠めた句といってよいであろう。

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