小島てつを「人生が見えるから俳句(時々短歌)は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句(短歌)を紹介し、俳句(短歌)の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句(短歌)を作る人がふえてくれたら、最高です。

俳人・歌人の、特に優れた作品を読むことで、今を生きる読者(または実作者)のみなさんのこころに少しでも癒しの風が吹いてくれたらいいなと念願して、今日も鑑賞を書きます。ご感想なだお寄せいただければうれしいです。

秋愁や旅のはじめのサロンパス 能城 檀

「旅のはじめのサロンパス」というが、ふつうなら「旅の終わりの」としたいところ。この句の場合、旅が始まったばかりなのに、もうサロンパスのお世話になっている、という自嘲の気持ちがそのまま句になっている。仕事から解放されたものだから、ちょっと張り切りすぎたのか

山に風水に音出て秋に入る  黛 執

さわやかな風が吹き始めると、山の上もようやく暑さから解放される。野には川のせせらぎ。水音がかろやかに流れている。そのリズミカルな調べ。秋に入ると、夏の光景とは異なる風景に変わる。葡萄や梨などの収穫が始まるとともに、稲刈りなど、農耕の世界は活発に動き始める

虫の音を踏まないように闇の道 酒井弘司

暗い夜道を歩く。ふつうなら「虫を踏まないように」、または「虫の音の途切れぬように」というところだが、作者は「虫の音を踏まないように」と上のふたつの言い方をまとめたような表現にした。🦗音を踏むという行為は、ないわけではないけれども、一般的にはそういう言い方

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