「旅のはじめのサロンパス」というが、ふつうなら「旅の終わりの」としたいところ。この句の場合、旅が始まったばかりなのに、もうサロンパスのお世話になっている、という自嘲の気持ちがそのまま句になっている。仕事から解放されたものだから、ちょっと張り切りすぎたのか
山に風水に音出て秋に入る 黛 執
さわやかな風が吹き始めると、山の上もようやく暑さから解放される。野には川のせせらぎ。水音がかろやかに流れている。そのリズミカルな調べ。秋に入ると、夏の光景とは異なる風景に変わる。葡萄や梨などの収穫が始まるとともに、稲刈りなど、農耕の世界は活発に動き始める
虫の音を踏まないように闇の道 酒井弘司
暗い夜道を歩く。ふつうなら「虫を踏まないように」、または「虫の音の途切れぬように」というところだが、作者は「虫の音を踏まないように」と上のふたつの言い方をまとめたような表現にした。🦗音を踏むという行為は、ないわけではないけれども、一般的にはそういう言い方