小島てつを「人生が見えるから俳句は面白い」ブログ版

最近、最新の優れた俳句とその作者を紹介し、俳句の幅の広さ、その奥深さを堪能していただけましたらありがたいです。これをきっかけに俳句を作る人がふえてくれたら、最高です。

今を生きる俳人の、特に優れた俳句を読むことで、今を生きる読者(または実作者)のみなさんのこころに少しでも癒しの風が吹いてくれたらいいなと念願して、今日も鑑賞を書きます。ご感想なだお寄せいただければうれしいです。

かの記憶薄れ緑蔭の二三人    山崎   聰

この句でいう「かの記憶」が何を指すかも、わかりにくくなってきた時代だ。もちろん作者は、いっけん曖昧な表現で、「あのこと」を言いたかったのだろうと思う。緑蔭といえば夏だ。夏といえば、その時代を生きてきたものからすれば、あれしかないだろう。「戦争」である。8月

火を焚けば真つ暗になる寒き夜    井越芳子

句集「雪降る音」。その帯文で、高橋睦郎さんは「目の欲望の過剰がみじんもなく、寡欲から生まれる豊饒は潔い」と書いているが、言葉を超えた光と影の織りなす叙情性あふれる句に魅力があるように思った。作者は1958年生まれ。現在、山崎ひさを主宰「青山」同人。眼の奥の冬

風に乗り風に遊ぶや花吹雪    金子たま

この句も「未来図」2019年10月号に載っている。同人作品評ということで、同人の大久保昇さんが取り上げているが、確かに印象深い句である。乗り、といい、遊ぶ、という。動詞を畳み掛けることで、句に花吹雪らしい動きが生まれたことで、この句成功したと思う。

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